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 じゃんぼよしだの酔眼写真塾


【感じたモノを表現するためのフィルターワーク】


  写真で一番大切なことは、そこにあるモノをどう見るのかということ。

写真というのはそこにあるモノがそのままに写る。そういうものですけれども、撮る人によって全部違う。

どうして違う写真になるのかというと、それは上手、下手ということではなくて、
『撮る人がどう見ているか』の違いなのです。 その「どう見るのか」というのは、
何を感じているか。 と、いうことでもあります。

そして、その見方が個性的であればあるほど、見る人にとって、びっくりするようなすごい写真になるのだと思います。

カメラの操作やレンズの選び方は、その感じたモノを伝える写真を作るためにある程度は覚えなくてはいけませんけれども、
それよりも大切なことは、モノをどう見るのかという個性を磨くことだと、私は思います。


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印象派の画家「モネ」の絵をご存じでしょう。『睡蓮』などが有名です。
印象派以前の絵は写実的な絵でした。見えたものを見えた通りに描く。
ところがモネは感じたように描いたのです。

(モネや印象派で検索して実際の絵をご覧ください)

花や葉は写実的に描かれてはいませんけれども、光輝いている様子など、モネはこの光がきれいだと感じたのだろうな、ということが良く分かります。

ピカソの『泣く女』という絵があります。(これもネット検索でご覧下さい)
キュビズムというのですが、まさかこんな顔をした人はいません。しかし、泣いている女性をそのままに描いた絵よりも、悲しそうに見える。この人が泣いている理由すらも感じるように思います。

(ちょっと雑学) 写真が発明されて、写実では写真にかなわないという理由で印象派が生まれたという説もあります。
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写真というのは、ただあるものを写すのではなく、感じたものを写真を見る人に伝えることが出来るかどうか。そこが大切だと思います。

カメラの操作、どんなレンズを使うかとか、シャッタースピードや絞りをどうする、というようなことを覚えると、「よし、ちょっとうまいコト撮ってやろう」と考えるようになります。
風景はこう撮ればいいのだ。花はこう撮るのだ。などとなるのですが、それは、いつも同じような写真、どこかで見たような写真ではないですか? つまりテクニックだけになっているのです。


見方、感じ方の個性を磨きましょう。 それが一番大切なことなのです。

私の得意なのは猫写真ですが、



敢えて後ろ姿を逆光で「見る」ことによって、夕日に向かって陽を惜しむような猫の感情、
そういうものを伝えたい写真です。また美しい姿を光の輪郭で強調しています。



楽しそうな感情が伝わるでしょうか? 



こんな素敵な場所で天気が良くて温かくて幸せだよと言っているように感じました。
猫だけに集中せずに地面すれすれから「見て」みました。



これは、レストランの裏道、電灯の上に干してあったタオルの写真。
何でもないものでも、見方によっては写真として成立する。そういう見本です。


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さて、感じたものを写真に表現して、見る人にもその感じたものを伝える。
なかなか難しいものです。

うわあ、キレイだなあと感じて写真を撮っても、家に帰って写真をみると、その時に感じたほどの感動がない。 もっとキレイだったのに、ということがよくありますね。
人間は目で見たモノを脳内で強調しているのです。 

写実よりも印象派の絵の方がイメージが強いのと同じです。
写真は写実ですけれども、もっと伝わる写真にしたい・・・そんな時がフィルターの出番なのです。

フィルターを使ってイメージを強調することが出来ます。



青空と猫の写真です。



一般的に青空は写真にすると感じたほど青くならないのです。




PLフィルターを使いました。 イメージ通りの青空になりました。


噴水の写真です。



逆光でもっとキラキラ光っているように感じました。



クロスフィルターを使ってみました。 いかがでしょう?


桜の写真。



光の重なりが美しい状況でした。



ソフトファンタジーというフィルターを使ったら、感じたような幻想的な雰囲気になりました。



アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼスいう画家をご紹介します。
(アンドレ・ボーシャン、グランマモーゼスで検索して実際の絵をご覧下さい)
「ナイーブ・アート」の画家として有名な方々です。

この二人の画家の共通点は、若い頃には全く絵を描いたりしていない普通の人だったということ。
(ふたりとも農家でした)
ボーシャンが本格的に絵を描き始めたのは40歳を過ぎてから、モーゼスに至っては60歳を過ぎてからで、初めて個展を開いたのが80歳のとき。
画風では、純粋な感性がストレートに表現されているということ。
技術的にはつたないけれども、その純粋な感性を表現できる程度であれば、それで充分。
感性の素晴らしさでここまで出来るということなのです。

ですから、写真だってそうです。
始めた歳は関係ない。いつから始めたって大丈夫です。
そして、基礎、写真で言えば技術的なコトは若い頃のように、なかなか覚えられない、難しい、でもそんなのはある程度でいいのです。
美しいと感じる心は歳には関係ない。 むしろ経験のない若者とは違った見方が出来るのです。